世界遺産である墓山古墳
のお濠の水質浄化活動

桃山GoGreenProjectは生徒たちの熱心な取り組みもあり、その活動が次第に広まるようになりました。

今では世界遺産である墓山古墳のお濠の水質浄化活動を行うまでになりました。

長い年月をかけて蓄積したヘドロを浄化するために生徒たちは次のような活動を行っています。

1.カイロの回収作業

2.カイロの中身の取り出し作業

3.カイロの在庫管理

4.水質調査

5.水質改善作業  

6.水質の改善結果の調査

百舌鳥・古市古墳群とは

百舌鳥古墳群は、堺市内の東西・南北約4キロメートルの範囲に広がる古墳群です。
古墳時代、この一帯には100基を越える古墳が造られました。

現在は44基の古墳が残っています。
その中には、世界最大級の墳墓・仁徳天皇陵古墳をはじめとする巨大前方後円墳などが含まれています。

古市古墳群は藤井寺市から羽曳野市にかけて東西・南北約4キロメートルの範囲に広がる古墳群です。現存する45基のうち、墳丘長200メートルを超える巨大な前方後円墳は7基も含まれています。

詳しくはこちら※

生徒からの活動報告

2021/11/11 百舌鳥・古市古墳群
Go Green Project 高1女子

近年、古墳周辺で悪臭が問題視されています。
主な原因はヘドロの堆積と言われています。
そこで、泥と見分けがつきにくいヘドロについて調べ、ヘドロを浄化し水を綺麗にするべく、墓山古墳群のお濠にて取水作業を行いました。 主な内容は柄杓でヘドロを含んだ水を汲み持ち帰ることです。

この度は羽曳野市役所の吉澤さんと荘林さんと活動させていただきました。

ヘドロは水の底に堆積しているため、長い柄杓を使います。
ヘドロは水深のおよそ3分の2を占めているそうです。
見た目だけでは泥のようにも見えるのがヘドロです。
どろっと水分を多く含んだものの感覚が柄杓を水中に入れただけで伝わってきました。

実際に悪臭もひどく、このままでは生活に影響を与えてしまうことも実感しました。
体験途中、近隣の方が声をかけてくださり、特に夏の悪臭がひどいとおっしゃっていました。

実験について

標本として採集させていただいた水を使って、実際に実験を行っていきます。
今回は使い捨てカイロの中身からできたキューブでの実験です。

カイロには二価鉄イオンが含まれており、これが水中のヘドロと反応することで、水質の改善、プランクトンの大量発生の抑制など、様々な効果があるとされています。

まずはヘドロ入りの水を2つ用意し、片方にのみカイロを投入しています。
まだ投入してから時間が経っていないので、これから経過を記録していく予定です。

羽曳野市教育委員会様から頂きました

2021年に羽曳野市教育委員会世界遺産・文化財総合管理室、文化財課様から水質改善のお話を頂きました。以下がその時の状況です。

古墳周濠の水質改善について

古市古墳群は羽曳野市から藤井寺市にまたがって大小さまざまな形と規模の古墳で構成さ れており、45基が現存している。4世紀後半から6世紀中頃に築造されており、発掘調査 で確認された古墳を含めると 130 基余りからなる国内有数の古墳群である。

古代国家形成期の中央政権の構造を考える上で学術的価値が高い事からその一部は早くか ら国の史跡に指定され、現在では22基が指定され「史跡古市古墳群」と総称されている。

また、これらの古墳群を構成する古墳のいくつかは、令和元年7月には堺市の百舌鳥古墳群 と共に世界遺産に登録された「 百舌鳥・古市古墳群-古代日本の墳墓群-」の構成資産で もあり、古墳そのものだけではなく周辺環境を含め恒久的な保護が必要となっている。

こうした中、大型の前方後円墳の多くは周濠をもつが、この周濠は古墳の雄大な姿や隔絶 性を演出する外部施設でもある。しかし、大阪と言う都心にあって、民家が隣接するなどの 生活環境下では、必ずしも良好な環境であるとは言えないのが現状である。

その周濠については、平成 25 年度に策定した『国史跡古市古墳群保存管理計画』において、 墓山古墳の現状課題の項目では「周濠へは河川からの水の流入がない上、生活雑排水の流入 があり、水質の悪化(富栄養化)が進行している。」と記されている。また、その後に策定した『史跡古市古墳群整備基本計画(第 1 次)』においては「周濠部の湛水は、生活雑排水が流入し、かつ水の出入りがないため水質の悪化(藻類の大量発生)が進行している。」と指摘されるなど、周濠の水質浄化は環境整備の中でも一つの課題である。

この解決策として、古墳周辺地域の下水道整備を進め雑排水の流入を抑制するとともに、 雨水以外の水の流入の復活も検討の一つとされている。しかし、いずれも長期計画的な対応 策であり、早期の解決策とは言い難い。

こうした現状の中で、少しでも早い時期に浄化をする事を検討している中で、使い捨てカ イロをリサイクルした水質浄化剤「GoGreenCube」を使用した作業が、他所で水質浄化に有効であるとの報道を知るに至った。

ついては、早期に古墳周濠の水質を改善し、悪臭軽減、水質や泥土の浄化を進めるべく、 先に挙げた古市古墳群の中でも羽曳野市が周濠を管理する「墓山古墳」の周濠の水を採取し て実験を行い、その効果等を継続して観察している。

今後、その成果について、有識者で組織している「羽曳野市史跡古市古墳群整備検討委員 会」等に諮った上で、水質浄化剤を使用した周濠の浄化作業に着手する予定である。

羽曳野市教育委員会
世界遺産・文化財総合管理室
文化財課

墓山古墳実験について

墓山古墳の水質浄化活動は始まったばかりです。
進展があればご報告いたします。